●コンクールレポート●
「第6回全日本アマチュアギターコンクール」
主催:全日本アマチュアギターコンクール実行委員会

8月28日(日)、三鷹市芸術文化センターで毎年恒例になった『全日本アマチュアギターコンクール』が行われました。6回目となる今回は、73通の参加申し込みのうち2度のテープ審査を経て50名がステージでの最終予選出場の権利を得ました。このコンクールは参加資格のひとつに「他のギターコンクールに1〜3位の入賞歴がない」という規定がありますが、今回2名の方にコンクール入賞歴があることが判明し失格となったのは誠に残念なことです。(1名は東北ギターコンクール第3位、もう1名は学生ギターコンクール第3位)主催者側でも一応のチェックはしていますが、小さなコンクールまで全てを掌握するのは難しいので最終的には参加者の良識を信じる以外にありません。しかし、これは決して特定の人(他コンクール受賞者)を頑なに排斥しようというわけではなく、当コンクールを“未だコンクール受賞歴のない方”のためのものとしておきたいとの考えからです。将来的にはコンクール受賞歴があるアマチュアの方のためにも何らかの活躍の場を考えていきたいと思っています。

下記に本選に進まれた10名の方を演奏順に紹介します。

1. 村上正彦(宮城県)〜森に夢見る(バリオス)

*次席(チリテント賞)

自然な流れを保ちながら丁寧に音楽を表現していた。音が小さく立体感がないのが残念。右手の爪やフォームを研究し、美しく豊かな音を得る事が出来たなら相当見事な演奏に変わる事だろう。

2. 山本孔彦(東京都)〜椿姫の主題による幻想曲(アルカス)

長い曲に意欲的に取り組んだが、もっとメリハリが欲しいところ。とくに大きなステージでは、自分が思っている以上に強弱などを表現しないと聴衆に伝わってこないので、大きな音楽作りを意識して欲しい。また「立ち止まり」のミスは練習段階でなくすように習慣付けたい。

3. 古本勝利(東京都)〜アリアと変奏(フレスコバルディ)

自分の音をよく聴きながら演奏していて、音色の変化にも工夫が見られる。目立ったミスもなく曲の完成度も高いが、もうひとつ力強さのようなものが欲しいところ。音も全体に細いので、パンチのきいた音を出せるようにすれば、格段に音楽が生きてくると思う。

4. 中川綾子(東京都)〜前奏曲第1番(ヴィラ=ロボス)

大きな流れを作る力や集中力が感じられる演奏。主張がハッキリしていて分かりやすいが、あまりにもリズムをゆらして歌い過ぎるとくどくなるので注意が必要。また、楽譜を間違って憶えているようなミスが見られるので、弾き込んでいる曲ほど初心を忘れず楽譜を時々見直すようにすると良い。それから、おじぎをしないで演奏するのは印象を害するのでステージマナーへの配慮も欲しい。

5. 柳沢正邦(静岡県)〜組曲「プラテーロと私」からラムエルテ、ロンデーニャ(デラマーサ)

*第1位

あくまでも自然な流れを大切にした演奏。フレーズもたっぷりと大きくとっているので安心感、安定感が感じられた。技術的にも無理をせず、ギターの良さを引き出しているさわやかな演奏だった。

6. 稲垣高司(東京都)〜大聖堂第2、3楽章(バリオス)

表現しよう、という意気込みは感じられるが、唐突なフォルテやピアノは音楽を不安定にさせる。「木を見て森を見ず」という音楽になってしまわないよう、大きな流れを大切に曲をみつめて欲しい。それから、速いパッセージを鮮明に、和音はつぶれないように、ゆっくり練習をして行くと良いだろう。

7. 日方薫子(東京都)〜タンゴ(カチョティラオ)、特性的舞曲(ブローウェル)

丁寧な音楽作りには好感が持てるし安定感のある演奏だったが、切れ味の良さとでもいうような、シャキッとしたところが欲しかった。この演奏者には歌わせる部分が少ない2曲を選んだのはミスだったかもしれない。

リズムやテクニックを主体にした曲よりも、たっぷりと歌えるところのある曲のほうがこの演奏者の魅力や個性 が生かせるように思った。

8. 糸坂直志(北海道)〜前奏曲第1、3番

*第3位

自分の主張がしっかりとあり、曲を前に進める力が感じられる演奏だった。クリアーで美しい音を出しているのに、前奏曲第1番では低音弦をこする雑音が多すぎて、その美点を壊してしまったのが惜しい。それから1フレット間違えるという左手のミスが多かったが、これは「手クセ」のような感覚で曲を憶えていると出やすいミスなので、頭でしっかりと暗譜すれば改善されるだろう。

9. 亀谷甲午(岐阜県)〜幻想曲Op.19(レニアーニ)

表現力も音量もあり雰囲気も出ていたが、後半にまとまりを欠いてしまった。また速いパッセージはただ弾くことに気をとられるせいか平坦な演奏になりやすいので注意が必要。大幅な時間オーバーはとにかく残念。

10. 吉田正憲(石川県)〜アラビア風奇想曲(タレガ)

*第2位

音が美しく表現もたっぷりしていて安心して聴いていられる演奏。細かいパッセージも難無く弾いていて余裕すら感じられた。音楽的には同じモチーフをくり返す曲なので、歌い方や間の取り方まで同じでは少し飽きてしまうかも。審査員の中には「ギターのオリジナル曲なのだから装飾音も楽譜通り忠実に弾いて欲しかった」という意見もあった。

なお、主催の「全日本アマチュアギターコンクール実行委員会」は、今後「全日本ギター協会」として新たにスタートすることとなりました。これからはコンクールの開催にとどまらず、公開レッスンや交流会など幅広くギター界の発展に尽力して行きたいと思いますので宜しくお願い申し上げます。

(全日本アマチュアギターコンクール実行委員会)




■ 賞品の一部




■ 開会あいさつを述べる実行委員長志田英利子




■ 審査員(左より50音順) 井桁典子、江間常夫、

エルマンノ・ボッティリエーリ、奥田紘正、越智光輝、

志田英利子、堀江志磨





■ 本選出場者




■ 第1位 柳澤正邦 ■ 第2位 吉田正憲




■ 第3位 糸坂直志 ■ 次席(チリテント賞) 村上正彦




■ 講評を述べる審査員代表奥田紘正